食品OEMとは？メリットや注意点を解説

食品OEMとは、他社のブランド名で製品を製造することを指します。近年、消費者の多様なニーズや市場の変化に応じて、企業は自社商品だけでなく、OEMを通じて新しい製品を市場に投入することが増えています。そこで本記事では、食品OEMのメリットや選び方、導入するときの注意点などを詳しく解説します。

食品OEMを導入するメリット

食品OEMとはOriginal Equipment Manufacturerの略称であり、企業（委託元）が自社の代わりにメーカーに商品を製造してもらうことを指します。

では、食品OEMを導入することによる企業のメリットを見ていきましょう。まず、食品業界においては、保健所の許可を取得しなければ食品を製造できないため、OEMを利用することで負担を軽減できます。

食品製造には30種類以上の許可業種があり、製造する商品に応じて設備や環境を整えなければなりません。

必要な設備投資や環境整備を行うことは、新規参入企業にとって費用面などで大きなハードルとなりますが、OEMを通じて製造を委託すれば、許可取得に伴う負担を省略し、スムーズに市場に参入可能です。

さらに、自社で製造を行う場合、大ロット生産が求められることが多く、売れ残りや廃棄ロスのリスクが高まります。しかし、OEMを活用することで、小ロット生産が可能になります。

小さな単位での生産を委託できれば、企業は新商品の試験販売や季節商品などのリスクを最小限に抑えながら市場に商品を投入できます。在庫を多く抱えすぎる必要がないため、収益悪化を防ぐことにもつながるでしょう。

また、食品OEMを導入することで、製造設備の新設や製造を担当する人員の確保といった手間から解放されます。商品製造にかかる業務負担を軽減でき、企画や販売、マーケティングなどの業務に専念できるため、より効率的な運営が実現します。

そのほか、食品製造は、腐敗や食品事故といったリスクが伴うことが懸念点です。しかし、OEMなら製造を専門とする企業に依頼でき、食品事故のリスクを軽減して、自社が未経験の分野でも、安全かつ高品質な製品を市場に提供することが可能になります。

食品OEMの選び方

食品OEMといってもさまざまな依頼先があるため、いくつかのポイントを考慮しつつ、自社のニーズに合うパートナーを見つけることが大切です。

まず、最も重要なのは安全性です。食品業界では、消費者の健康を守るために厳格な安全基準が求められます。そのため、選定するOEMパートナーが適切な衛生管理や品質管理体制を整えていることの確認が不可欠です。

具体的には、ISOやHACCPといった国際的な認証を持っているかどうか、過去に食品事故がないかなどを調査しましょう。次に、味や風味の選定も重要です。食品製品は、最終的には消費者の口に入るものであるため、味を気に入ってもらえなければリピーターが獲得できません。

製品の味や品質を確認し、自社ブランドにマッチするかどうかを判断することが大切です。さらに、コストも選定基準のひとつです。OEMによる製造は、コスト面でのメリットが期待できるものの、単に安価に発注できるところを選ぶことが最善の選択とは限りません。

製品の品質と価格のバランスを考慮し、コストパフォーマンスのよい製造元を選ぶことが重要です。そのほか、対応ロットや実績などにも注目しましょう。このように、さまざまなポイントを総合的に考慮したうえで、自社のニーズに合った委託先を見つけることが大切です。

食品OEMを導入する際の注意点

食品OEMを導入する際は、考慮しておくべき注意点があります。

まず、安全性が確保されているかを慎重に確認しましょう。衛生面でトラブルを発生させないためにも、衛生管理マニュアルや安全基準に従った製造工程が確立されているか、そしてスタッフの教育が十分に行われているかを確認する必要があります。

安全性を重視することで、自社製品の信頼性を高め、消費者からの信頼を得られます。次に、設備機器の充実度もポイントです。製造に使用される機器や設備の内容、メンテナンスが適切に行われているかを確認することは、製品の品質に直結します。

十分に清掃やメンテナンスが行われていない設備を使用していると、品質のばらつきや製品トラブルが発生する可能性が高まります。最後に、サンプルを確認することも重要なポイントです。

実際に製造される製品のサンプルを試食し、味や品質を確認することで、自社ブランドに適したOEMであるかを判断できます。サンプル確認を怠ると、製品化後に想定外の問題が発生するリスクが高まります。

そのため、OEM導入の前に試作品をしっかりと評価することが、成功につながる第一歩となります。

まとめ

企業はOEMを利用することで、保健所の許可取得に伴う負担を軽減し、効率的に市場参入が可能となります。また、小ロット生産ができるため、売れ残りや廃棄ロスのリスクを低減し、企画や販売に専念できるメリットもあります。しかし、OEMの依頼先を選ぶときは安全性や品質管理、コスト、対応ロット数などを慎重にチェックしましょう。さらに、製造工程で使用されている設備やサンプル確認も重要です。メリットや選び方、注意点を押さえることで、高品質な製品を消費者に提供できます。